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チームの力を最大化する「リアクション」を考える

チームメンバーがこれからやろうとしていること、やったことに反応を返していますか?

Agend編集部では、チームコミュニケーションついての編集部内の会話を不定期に記事化しているのですが、今回は『チームコミュニケーションにおけるリアクションの大切さ』について話してみました。

フジイユウジ


【Agendインタビュアー】 フジイユウジ

Agend編集長。2011年バンダースナッチを創業。
様々な事業の経営やグロースに携わる中で意思決定のための会議や組織論、チームコミュニケーションに強い興味を持ち、Agendの運営を開始。


奥川隼彦


奥川隼彦

Agend編集メンバー。Webマーケティングを本業にしつつも、組織開発や社内コミュニケーションに興味関心を持ち、Agendにてインタビュー・ライティング・写真撮影などを担当。

ポジティブなリアクションはチームを爆発的に前進させる。

今日は、仕事のチーム内コミュニケーションにおける「リアクション」。
その中でもチームを前進させるようなリアクションというのをテーマに話していきましょう。

奥川隼彦

フジイユウジ

少し前に話題になった note、良かったですよね。
チームの誰かに対して「それいいですね」って言わないとチームの推進力が落ちる、黙っているのは中立的な働きをせずに「賛同しません」というブレーキに近い結果になるという内容。

チームで仕事をするなら、リアクションし続けよ|森 一貴(Mori Kazuki)

今回、このテーマで話すことになったのも、まさに僕がその記事をシェアしてフジイさんが「そのテーマでやろう」ってリアクションしてくれたからなんですよね。

奥川隼彦

フジイユウジ

「自分の言っていることを理解して共感してもらえる」って、想像してるよりも大きなチームを前進させるエネルギーになるんですよねえ。
言ってることの正しさより、仲間からポジティブなリアクションもらえるかどうかでチームの動きは変わるじゃないですか。
良くも悪くもそういう風になるのがニンゲンの難しいところでもあるけど、「ノリ」みたいなものを冷ややかに見たりせずに大切にしたい。

わかります。ノリの良さって大事ですよね。
そうやって何かしらの発言に対してリアクションをすることで、コミュニケーションに弾みがつく感じがする。

奥川隼彦

フジイユウジ

やっぱりチームメンバーって自分を承認してくれる1番の距離感の人なわけじゃないですか。チームメンバーに承認されたい。
承認されたいって変な日本語だけど(笑)

されたい!(笑)
チームメンバーから「それいいね」とか「やろうやろう」って背中押してもらえるのって、ものすごく意味ありますよねえ。

奥川隼彦

フジイユウジ

とはいえ、実は仲間の背中を押すってのは思ってるより難しいことなのかもしれませんよね。
”チームで仕事をするなら、リアクションし続けよ” の note でも『議論において黙って静かにしていることは、実は透明になることではない。それは黙っていようがなんだろうが、「そのアイデアに賛同しません」という意味』になると書いてありました。
賛同はしてるんだけどノリが良いわけでもない「あなたが良いと思うなら、それでいいんじゃないですか」みたいなリアクションがあると「あ、これそこまで頑張ってやるほどのことじゃないのかな…」と熱量がガクンと下がっちゃう。ニンゲンむつかしい。

良いなら良いと明確にリアクションすべきで、無反応やリアクションが薄いことはブレーキをかけることなんだ、って話ですよね。

奥川隼彦

フジイユウジ

実は明確にリアクションするって、めちゃくちゃ難しくないですか?
賛同すべき意見か、ノリだけで進んでいいのかってのを考えちゃうと、反対のつもりはがなくても良いリアクションしていない状態が生まれるわけで。

書籍の『LISTEN』で、判断をしながら聞く「withジャッジメント」と、判断を保留して聴く「without ジャッジメント」があるって話が出てくるじゃないですか。
このチームメンバーのリアクションも、判断をしないでポジティブリアクションする「without ジャッジメント」な姿勢が必要なんじゃないですか。

奥川隼彦

LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる

フジイユウジ

おおおお、それ大事だなあ!
仲間がやろうとしてることを良さそうか評価してから、その評価に合わせたリアクションする「with ジャッジメント」なスタンスをとる必要はほとんどなくて、どのくらい良いかに関係なくリアクションして盛り上げちゃう「without ジャッジメント」でいた方がいいってことよね。

そうですね。
「これはどのくらい良いことか」なんてジャッジを入れてしまうと、薄いリアクションになってしまうんじゃないかと。

奥川隼彦

フジイユウジ

「そもそも良くない」レベルならそりゃは止めたり議論すればいいとして、チームにとってプラスになることをやろうとしてる人に「まあ、いいんじゃないですか」なんて薄いリアクションする意味ないですもんね。
どの程度の良さかの評価を入れない「without ジャッジメント」な態度での応援を心がけたいですね。

嘘のモメンタムになるリアクションではいけない

フジイユウジ

大きな成果ではない小さな成果や成功しないチャレンジだとしても、チームメンバーへのリアクションをすしてチームを勢いづけるのはいいモメンタムのつけ方だと思うんですが……。
一方で僕は誤った方向にモメンタムをつけないように、慎重にならなければならないとも思っているんですよね。
連続性のない単発の成功に盛大なリアクションをしていると、連続的な成長に繋がる再現性のある事象であるかのように勘違いして、誤った事業判断をしたりしてしまうので。

嘘のモメンタムがつくられちゃうと、チームの動きを冷ややかに見る人も出てくるし、怖いっすね……
リアクションが本音とリンクしてないと、コミュニケーションに齟齬は出ますよね。
これって、がくちょ(楽天大学の仲山さん)にインタビューしたときに教えてもらった「タックマンモデル」のフォーミングの段階からストーミングの段階に入ってないと、嘘のモメンタムをつくりだしちゃうって話なのかも。

奥川隼彦

フジイユウジ

ああああ、確かにそうかも。
本心ではないリアクションばかりだと、結局は褒めあってるのに疑心暗鬼のチームをつくっていくことになる。
「without ジャッジメント」な評価しない態度でありながらも、嘘ではないリアクションをしているか問われるんだろうなあ。

タックマンモデル:

アメリカの心理学者ブルース・タックマンによって提唱された、チームの成長段階によって何が起きるかを表したモデル。
フォーミング段階(形成期)は、お互いのコミュニケーションスタイルがわからず空気を読んで同調して本音を言えないことや声の大きいメンバーが歩調を合わせられなれないような段階のこと。

忌憚ない意見を互いに交わせる心理的安全性が担保できていないまま、ポジティブリアクションが大量にうまれるのも問題なんだなあ。

奥川隼彦

どうしたらリアクションできるようになるのか

フジイユウジ

「評価をしてからリアクション」をやっちゃうと、モメンタムになるようなパワーが生まれない。
とはいえ、組織の中に勘違いが濃縮されないようにしなくてはならない。
「without ジャッジメント」な態度でコミュニケーションし続けるって、めちゃくちゃムズい気がするなー

「そもそもジャッジするべきなのか」という問いがリアクションをする前にあるべきなんじゃないですかね。

奥川隼彦

フジイユウジ

あー!それいいですね。
ついつい「どのくらい良いことなのか」という評価をしてしまうけれど、その前に「そもそもジャッジ・評価をするべきことなのか」のYES/NOだけを考えるのに変えればいいんだ。
ジャッジ不要なら全力応援の姿勢をとればいいんだし、ジャッジのいることにはリアクションよりも議論やサポートが必要ということだろうし。

思考のクセとして「今の自分にとって必要な情報かどうか」っていうことを先に取捨選択してフィルタリングかけようとするから、ノールックでそのパスを返せないんでしょうね。

奥川隼彦

フジイユウジ

まさにそれ。
ジャッジしないでいいことまで「これはどのくらい良いことなのか?」ともったいぶってしまうと、仲間に良いリアクションをしないクソ野郎になってしまう。
自分で言ってて自分にブーメランが刺さってる気がするけど(笑)

自然にできるようになるまでは意識した方がいいんでしょうけど、「メンバーの発言にはリアクションしましょう」って言われると、ちょっと強制されている気持ち悪さはありますよね。

奥川隼彦

フジイユウジ

そうですね。
リアクションを取り入れるとき、ただ「リアクションしよう」というと強制感が出てしまう。
最初のうちは「リアクションをもらったらそのリアクションに対して何か返そう」とすると、自然かつ連鎖的なリアクションが生まれるんじゃないかなーって思いました。

まとめ: 嘘のないモメンタムを生み出すリアクションでチームを強くする

チーム内のリアクションについての編集部内の会話、なにか参考になることがありましたでしょうか。

■ 仲間からもらうポジティブなリアクションは、想像以上にチームを前進させる
■ 無反応や薄い反応はブレーキになる。ポジティブなリアクションがデフォルトくらいが良い。
■ つい「どのくらい良いことなのか」という評価から入ってしまうのを止め、ポジティブなリアクションをする。
(ジャッジのいることには、リアクション以前に議論やサポートが必要だが、ほとんどの場合はジャッジが不要なはず)
■ 最初のうちは「リアクションをもらったらそのリアクションに対して何か返しましょう」とすると自然かつ連鎖的にリアクションが生まれやすそう。

(企画・編集:フジイユウジ / 取材・文・撮影:奥川 隼彦)

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